法廷通訳の新世界へ!

昨日,2014年9月6日(土),日本弁護士連合会主催の法廷通訳シンポジウム

「ただしく伝わっていますか? あなたの尋問 ~裁判員裁判時代の通訳人と弁護人の協働のために~」

が開催されました。

 

弁護士と通訳人のみを対象とした非常にニッチな題材の3時間にわたる長時間のシンポジウムです。それほど大規模な宣伝もしていません。主催者側である私たち日弁連委員としても,何人くらいの人が集まっていただけるのかと,正直言って不安でした。

ところが,ふたを開けてみれば,あっという間に会場からあふれ出すほどの人が集まり(本当にあふれたので中継室をご用意しました),同時中継した全国の会場と合わせて300人もの皆様にご参加いただき,大盛況となりました。

参加者の大多数が現役の司法通訳人の方々でした。

 

もちろん,すべては私の華麗なる総合司会ぶりのおかげです(嘘)。

いや,司会をしたのは本当ですが,素晴らしかったのは報告者やパネリストの皆様です。

元裁判官や現役通訳者の方に本音を語っていただけたことも,大変好評でした。

これを機会に全国の通訳人の方々と刑事弁護を扱う弁護士が連携し,法廷通訳を魅力ある専門職とするために,人権感度の低い法務省・最高裁を動かして,司法通訳の資格制度などの法整備を本格的に進めることができるかもしれません。

法廷通訳の新しい時代が,このシンポジウムから始まるような気がします。

 

シンポの中では,裁判で誤訳が問題となったケースや,海外調査報告,通訳に関する様々な研究・実験の結果など,いずれも事前に内容を承知していたとはいえ,当日のアドリブ部分を含めて面白い話がたくさん聞けました。

たとえば,外国人の刑事裁判の冒頭で,

「とても,緊張,して,います。」

と,口の中をカラカラにして絞り出すように語り始めた被告人の言葉を,通訳人が,

「私は,たくさんの人々から注目を浴びています。」

とスラスラ訳してしまったことで,まるで愉快犯のように思われてしまった事例。

もちろん,これは初歩的な誤訳の例として出た話にすぎませんが,わかりやすかったです。

(ちなみに,その通訳人は,“tention”と“attention”を聞き間違ってしまったわけです。)

 

 

でも,会場で一番うけていたのは,代々木公園の隣に事務所を構えている弁護士のデング熱パニック自虐ネタでした。

 

ま,それはそれでよろしいかと。