最近,浦和から横浜へ出張する事件が続いていて,月に1,2回は横浜に通っています。
横浜地裁(家裁)は横浜中華街のすぐ近く。浦和からだと遠い印象はありますが,京浜東北線の関内や石川町が最寄り駅ですので,最速なら片道1時間強で着いてしまいます。
横浜中華街と言えば,私が最初に思い浮かべるのは関帝廟です。
関帝は関聖帝君の略称で,言わずと知れた三国志の英雄・関羽雲長のこと。死後になって物語を通じて民衆の信仰を集め,歴代王朝より封号を受け続けた結果,清代に至って封ぜられた正式な称号は「忠義神武霊佑仁遊勇威顕護国保民誠綏靖翊賛宣徳関聖大帝」となりました。
中国・台湾で,もっとも人気を集める神様であると言ってよいでしょう。
台湾でも,有名な行天宮(台北)は関帝廟ですし,各地の文武廟は孔子と関帝を祀っています(本来の武神は太公望呂尚ですが,関羽人気のため無常にも入れ替わりました)。そのほか,廟という廟には,必ずと言って良いほど関帝(関公)像があります。
何と言っても武将の神様ですから,台湾の警察とヤクザ(黒社会)は,両方とも熱心に関帝を信仰しているんだそうです。
留置場で警察官とヤクザが並んで関帝に祈りを捧げている場面なんて,想像するとおもしろいですね。
そうそう,以前このブログ(「ダラン,だらん,達浪……」2014年4月18日)で書いた台湾の警察での接見室の様子がわかりましたので,ご報告します。
日本と違い,台湾の接見室には仕切りのためのアクリル板なんて無いんだそうです。
その点ではドラマが正解でした。台湾ドラマ,侮り難し。
日本でも少年鑑別所ならアクリル板無しの個室面会が可能なので,それと同じような雰囲気なんでしょうね。
ちなみに,武神関羽は,いつの間にか財神(商売の神様)としても信仰されるようになっています。中華街に古くから関帝廟があるのはそのためです。
「算盤(そろばん)は関羽が発明した」などという伝承まであります(史実ではありません)。
関帝像は明らかに三国志演義のイメージで創られていますが,真実の関羽はどのような人だったのでしょうか。
演義で美髯公と称された立派な髭は本当のようですが,正史三国志を読むと,赤い顔じゃないし(そりゃそうだ),青龍刀は創作かもしれません(顔良を「刺す」場面があるので,主武器は矛か戟であったと思います)。
せっかく横浜に行ってもすぐにとんぼ返りで,中華街に立ち寄る暇はなかなか取れないのですが,その分,車窓から英雄に精一杯の想いを馳せるのでした。
……せめてもうちょっとお金が貯まりますように(祈)
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