真のブラック社員とは?-企業を蝕む獅子身中の虫(2)

前回(真のブラック社員とは?-企業を蝕む獅子身中の虫(1)参照),ブラック社員には大きく分けて2種類あり,そのひとつがブラック企業の熱血従業員である「元祖ブラック社員」だという話をしました。

今回は,もうひとつのブラック社員,本当に怖い「真のブラック社員」についてご説明します。

真のブラック社員はホワイト企業に潜む

今,日本の多くの企業で,もうひとつの形のブラック社員が,静かに,そして着実に広がっています。彼らは,いわば「真のブラック社員」とも呼ぶべき存在です。

「元祖ブラック社員」と違い,「真のブラック社員」が生息するのは,ブラック企業ではありません。ごく普通の(ホワイトな)企業です。大企業か中小企業かを問いません。あなたの会社にも「真のブラック社員」や,その「予備軍」が潜んでいるかもしれません。

このことに気付かず,対処の遅れた企業は,いずれ予想を超えた大ダメージを受け,下手をすれば倒産の危機をむかえることになるでしょう。

真のブラック社員の特徴

「真のブラック社員」は,基本的に,会社に尽くすという発想がありません。もともと,会社の利益のために働くという意識が薄いのです。

したがって,社内での勤労意欲は著しく低く,通常の正社員に期待されるような働き方はしません。出世のための向上心もありません。

しかも,熱心に働こうとする同僚社員たちの足を引っ張ることで,自分の業績の悪さが目立たないよう画策します。

彼らは,与えられた仕事はしませんが,お金を稼ぐことに興味を持っていないわけではありません。むしろ彼らは,自分自身の利益や自己保身について人一倍敏感であり,お金には徹底的に執着します。

 

また,真のブラック社員は,自分が攻撃されたと感じると,逆ギレして,上司や会社に対して,後で述べるような恐るべき反撃を加えます。

会社の利益など眼中にありませんから,自分と自分の利益を守るためであれば,会社の不利益になることでも平気で行います。

しかし,その一方で,真のブラック社員は,決して自ら会社を辞めようとはしません。

会社が彼らをクビにすることも容易ではありません。

 

すべての企業にとっての獅子身中の虫。それが真のブラック社員です。

真のブラック社員の誕生

勘違いしやすいかもしれませんが,「真のブラック社員」とは,単に仕事ができない従業員のことではありません。

また,多くの場合,採用当初からブラック社員なわけでもありません。

もともと仕事に対する意欲が低く,一定の性格傾向のある「予備軍」だっただけの人が,何らかのきっかけで「真のブラック社員」へと変貌するのです。

そして,そのきっかけの多くは,会社や上司の彼らに対する扱い方に注意が足りなかったことに起因します。

 

典型的なきっかけは,上司が同僚らの前で,考えなく「予備軍」の人を叱り飛ばし,彼らのプライドをひどく傷つけてしまうことです。

彼・彼女は,自分の言動や態度を反省する前に,まず「恥をかかされた」と感じます。上司が怒りにまかせて何度指導しても,改善は見られません。むしろ,その上司への恨みだけをつのらせます。

その結果,彼・彼女は,自分のブログや2ちゃんねるなどの掲示板サービス,SNS(TwitterやFacebook,LINEなど)を通じて,自分の会社が社員をいじめる「ブラック企業」であり,自分はパワハラ上司の被害者であると主張します。

そして,ネット上で,上司の悪口や自分の会社に対する徹底的な批判を繰り広げ,従業員の個人情報や会社の内部事情を暴露します。

 

このようにして,「真のブラック社員」が誕生するのです。

 

 

もちろんほかにも,真のブラック社員によるリスク例があります。

次回,「真のブラック社員とは?-企業を蝕む獅子身中の虫(3)」に続きます。