あの頃,そして,別れの時

私は,刑事事件などと並んで家事事件を扱うことが多いのですが,家事事件の中でも受任数が多いのはやはり離婚事件。次いで相続事件ですね。


で,自分が結婚する前に,弁護士として離婚事件をあまりにたくさん扱いすぎると,もう結婚なんて普通にはできなくなります。

「そんなことないよ」と言う弁護士仲間もたくさんいます。が,そういう人と話すと,大体扱う件数が違っています。

常時5~10件ほどの離婚事件を抱えたうえ,他の弁護士が嫌がるDVの専門相談も積極的に引き受けながら,自分だけはいつまでも結婚に夢を見られるなんて,そんなわけないです。

この10年間,私の目の前で,生涯の愛を誓い合ったはずの男女が,ありとあらゆる愛憎劇を繰り広げつつ,次々と別れていきました。


 

でも,そんな二人にも,相手を想い続け,追いかけたあの頃があったはずです。


愛しくて切なかったその時を思い出せる,素敵な映画を観ました。

「あの頃,君を追いかけた」

これも台湾の映画です。主人公である柯景騰は,柯震東(クー・チェンドン)がやると実物よりカッコ良すぎなんですけど,お馬鹿で自然な演出のおかげで,まったく嫌みがありませんでした。ミシェル・チェン(陳妍希)の演じる沈佳宜の素朴な可愛さにも,思わず魅せられます。

誰かを想ったあの頃の気持ちが,心の中でチクチクとした鼓動を取り戻すような感覚。ちょっとお茶目で,とっても優しい物語でした。

さすが,九把刀。


 

ただ,そんな美しい「あの頃」を持った二人でも,別れが訪れてしまうことはあるんですよね。


それでも,素晴らしいあの頃を過ごせたという幸せは,一生忘れないでほしい。

そして,もしあの頃をともにした人が今もまだあなたの隣にいるのなら,どうかその幸せを,一生大切にしてください。


 

人生の難しさを思いながら,今週もまた,いくつかの離婚と向き合います。