日本時間の12月13日未明に,パリで開催中のCOP21(国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議)において,新たな温暖化対策の枠組み(「パリ協定」)が採択されました。
地球環境のために,各国が利害を調整して立ち向かおうと合意することは,大変素晴らしいことです。
ただ,世の中は善人の善意だけで成り立っているわけではありません。
表面的な報道だけで直感的に良し悪しを安易に決めつけてしまうことには,慎重でありたいと思います。
たとえば,地球温暖化問題にしても,温暖化の主な原因を人為排出の二酸化炭素に求める通説的見解に対して,様々な科学的批判がなされており,それに対する通説からの反論,再批判,再反論……というように,延々と繰り返されているのが現状です。
地球規模での気候変動としては,むしろ寒冷化に向かっており,ごく近い将来(たとえば2030年頃など)には氷期に入るといった説も,根強く主張されています。
つい最近も,温暖化による海面上昇の犯人だったはずの南極の氷が,減るどころか,むしろ増えていたという観測結果が発表されて話題になりました。ご存じでしょうか?
もちろん,その観測結果に対しても,陸氷と海氷の増減率の違いとか,海氷形成のシステム分析とかで専門的な議論がまだ続いており,南極の氷は増えているから温暖化は嘘だという考えも,早計なのでしょう。
しかし,私も含めて科学の専門家でない一般人の多くは,南極の氷が溶けて海面が急上昇しているという報道や報告をこれまで繰り返し聞かされていて,それこそが温暖化の証拠であり,かつ,温暖化による地球環境破壊のシンボルであると受け止めてきたはずです。
それがそもそも嘘だったとしたら,温暖化説の出発点からもう,あやしく感じてしまいますよね。
温暖化対策の枠組みは,少なくとも年間1000億ドル(約12兆円)以上というすさまじい金額を巡る国家規模の駆け引きですから,その実態は,汚染された工業廃水よりもドロドロとしたものなのかもしれません。
二酸化炭素の排出量をお金に換えるための排出権取引など,その典型です。
ただし,二酸化炭素を主原因とする地球温暖化説が本当であるとしても,あるいは,嘘や間違いであるとしても,いずれにせよ私たち人間の営みが,今この瞬間にも地球環境に対して巨大な悪影響を与えているであろうことは,否定しようのない事実だと思います。
二酸化炭素を主原因として地球温暖化が進んでいるかどうかは,本当のところ私にはよくわかりません。
けれども,二酸化炭素等の温室効果ガスを大量に排出することが環境への悪影響を招くことは,直感的に理解できます。原子力問題だって,そうです。
「何とかしなきゃ」と思うのは,ものすごく自然な善意なんだと思います。
大切なのは,私たち個々人と,その集合体である各国家が,地球環境を我が事として考え,協力していくことですよね。
……そして,もしそうだとすると,多くの人が,そもそも温暖化が本当なのかどうか科学的に議論されていることすら知らずに,「排出規制が合意できて良かったね」と手放しに喜んでいるとしたら,それで果たして環境を「我が事」として真剣に考えていることになるのかな? と,やっぱりちょっと慎重になってしまうのです。
目に見えていることが真実とは限らないし,善意が善行になるとも限りません。
それでも,もし人の善意が無ければ,世の中は決して良くならない。
この社会を支える土台や根っこの部分で,私たちひとりひとり心の中のちっぽけな「善意」が積み重なっていくことで,世の中は,必ず少しずつ良くなっていく。
それだけは,間違いないはずです。
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