2016年1月14日午後6時から,「第86回・国際人権に関する研究会『LGBTの人権』」が日弁連・弁護士会館にて開催され,私も出席してきました。
「国際人権に関する研究会」は,日本弁護士連合会が定期的に開催しているオープンな研究会で,興味のある方は誰でも参加できます。毎回テーマを変え,当該分野の研究者の方などを講師にお招きして,国際人権や条約をめぐる諸外国・国際機関の最先端の動きを学んでいます。
日弁連の主催と言っても,実質的には私も所属している国際人権問題委員会で企画運営する行事です。国際人権は,ダイナミックで動きの速い分野ですので,時間の許す限り自分でも参加して,常に新しい知識を補充するようにしています。
そうは言っても,日中の業務や会議で疲れ切ってしまうと,つい参加を取りやめて帰りたくなることも多々あります。
意地を張って参加しても,やっぱり寝てしまうとか……。
実はこの日も,眠気と闘う気が満々の状態(要は,疲れていて帰りたくてしょうがないけど,自分で参加を決めた以上,とにかく帰らない)でした。
ですが,はじまってすぐに,眠気が吹っ飛びました。
久々に(と言っては何ですが),本当におもしろい研究会でした。
この日は,柳沢正和氏(NGOヒューマンライツウォッチ東京委員会委員)と谷口洋幸准教授(高岡法科大学)が講師をしてくださったのですが,特に柳沢氏のセッションが素晴らしかった!
冒頭,簡単な導入の後,いきなり会場から参加者数名が紹介され,そのままパネルディスカッションに突入。
中には素顔を隠す仮面を付けて参加する人までいて,ビジュアル的にも驚きです。
以下は,柳沢氏のセッションのネタバレになりますが,LGBTを理解するための比喩として最も知られた話のひとつだと思いますので,どうかご容赦を。<(_ _)>
さて,今これをご覧の皆さんの中に,
「佐藤さん,鈴木さん,高橋さん,田中さん,伊藤さん,渡辺さん」
は,おられますか?
この法律夜話を100人の方が読んでくださっていると仮定して,そのうち7人くらい,いるはずの計算です。
「佐藤さん,鈴木さん,高橋さん,田中さん,伊藤さん,渡辺さん」は,日本人に多い姓の上から6つで,人口比の合計は7%強になります。
では,皆さんの中で,
「佐藤さん,鈴木さん,高橋さん,田中さん,伊藤さん,渡辺さん」
という名字の『知り合いがいる』という方は,どのくらいおられますか?
当然,いますよね?
日本人であれば,ほぼ「100%」になるはずなのです。
ですが,なぜかそうならないのが,LGBTという問題です。
皆さんは「LGBT」(エル・ジー・ビー・ティー)と聞いて,すぐに何のことだか分かるでしょうか?
LGBTは,
- L(レズビアン,女性同性愛者)
- G(ゲイ,男性同性愛者)
- B(バイセクシュアル,両性愛者)
- T(トランスジェンダー,性同一性障害を含む生まれながらの性役割に違和感を持つ人)
の略です。
実際には,このLGBT以外にも,多様な性的少数派の人々がいます。
研究会でも,たとえば「女装する男性」の性について,芸能人の例などが話題にされました。
LGBTという用語自体が,もともと異なるカテゴリーをただ並べただけなのですから,いずれ何かに取って代わられる言葉だと思います。
そのため,最近では「SOGI」(ソギ=Sexual Orientation and Gender Identity)という用語が,より価値中立的な表現として好まれつつあるようです。
先ほどの会場からの参加者の皆さんは,その場で(仮面のお一人を除き)実名や勤務先まで明かしてご登壇くださったLGBTの方々でした。
そんな状態でのぶっちゃけ話が,おもしろくないわけがない!
もちろん,ゲイバーがめっちゃ楽しい(らしい)というのとは違いますよ。とってもまじめな研究会です。
ともかく,今回の研究会については,せめてそのエッセンスだけでも多くの方にお伝えしたくなりました。
少し長くなりそうなので,中身の続きは次回ご紹介します。
ちなみに,続く第二セッションで谷口洋幸准教授がLGBTに関する国際人権の最新の先例を,すごい勢いで鋭くコンパクトにまとめて講義くださった(らしい)です。
けど,一瞬にして寝落ちしてしまい,ほとんど聞いてなかったのは内緒。
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