もう、これを書かないわけにはいかない状況となりました。
共謀罪の話です。
共謀罪の危険性や不当性については、ネット上だけでもすでに様々な情報があるはずで、私がここで屋上屋を重ねる必要はないと思ってきました。
しかし、残念ながら、正しいことが正しいというだけでは通らないこの世の中です。
法律の細かい議論は、一切省略します。そういうのは、よそで読んでください。(……法律ブログなのにね。)
でも、監視社会だとか、一般市民が対象になるかとか、対象犯罪が277個もあって多すぎるとか、そんなのどうでもいいんですよ。
あ、いや、どうでもいいは言い過ぎですけど、そういう難しいことは後回しでいいんです。
市民の声なき声の最大公約数は、要するに、
「共謀罪になんとなく不安はあるが、テロ対策のためには必要なのではないか」
ということなんだと思います。
共謀罪推進派の政府や右寄りの人たちは、これをもっと極端にして、
「日本国民を守るためのテロ対策の法律に反対するやつらは、左の売国奴だ!」
という論調です。
ここでは、政府や官僚など、嘘つきの確信犯でこれを言っている人たちは無視します。知っていて嘘をついている人に、それは嘘だと言っても何も響きません。
そうではなく、「テロと戦うためには共謀罪が必要だ」と本気で誤解している(騙されている)人たちが、なぜか、本当になぜなのか分かりませんが、とにかくすごくたくさんいる、ということが問題の核心なのです。
共謀罪法案(組織的犯罪処罰法改正案)は、嘘つきどもによって「テロ等準備罪」法案と呼ばれていますが、テロ対策目的の法律ではありません。
たいていの法律は、第1条に法律の「目的」をはっきり書いています。共謀罪法案もそうです。
そこに、「テロ」という言葉は、ありません。
「条約を実施する」とか、「組織的に行われた殺人等の行為に対する処罰を強化」することとかが「目的」として書かれています。
法律論は省略すると言ったのでこれ以上はやめますが、法律案に書かれている「目的」自体も嘘です。
そして、「テロ対策」は、嘘だとしてもさすがに書けないくらいに、この法律とは本当に関係ないんです。
でも、法律の目的に「テロ」はありませんが、「組織的な犯罪」という言葉が出てきます。
そこで、「テロ集団も組織的な犯罪に含まれるから、共謀罪はテロ対策になるんだ」と、ひたすら言い続けている大嘘つきが、世の中にたくさんいるわけです。
どうか皆さん、こんなアホな話に1ミクロンでも騙されないようにしてください。
当たり前ですけど、テロは、集団でしなくても、一人でやってもテロですからね。テロをやったのがテロ集団でなくても、やったことがテロならテロですからね。
本当にテロ対策をするのが目的なら、共謀罪ではなく、組織犯罪対策でもなく、テロを防止してテロ集団を取り締まる「テロ対策法」を作るべきですからね。
テロ対策が目的ではないからこそ、テロ対策法ではなく、共謀罪なんですよ。
政府主導の法制審議会ですら、治安維持のために共謀罪を作る必要性はない(立法事実がない)と結論されています。もともと、いらない子なんです。
ましてテロ対策になるなんて、公式の文書では誰一人として言ってない。
ついでに、条約締結に法律が必要だとも言ってません。
よく聞くと、「(たぶん)役に立つ(だろう)」と言っているだけなんです。
本当の目的はそんなことではありません。それを言うと見向きもされないから、なんとか嘘の理由をつけて騙そうとし続けているんです。
彼ら嘘つきども(のうち頭の良い部類の人たち)は、「犯罪組織=テロ集団」だとは言ってません。「組織的犯罪=テロ」だとも言っていません。
そう言ったら、明らかに嘘をついたという公式の記録が残りますから、そうは言いません。
テロと組織的な犯罪は、基本的に関係ないです。彼らもそれは分かっています。
だから法律の「目的」に書けないんです。
つまり、彼らは、強行採決してでも通したい本当の目的は言わずに、
「誰でも彼でも片っ端から捜査対象にして、えん罪でもなんでもすぐ捕まえられるようにする法律ですから、たくさん捕まえた中にはテロ集団みたいなのが入ることもありますよ。だから、結果的にはテロ対策にも効果があるはずです。」
と言っているんです。
それを聞いた素直な人たちが、共謀罪はテロ対策のための法律なんだと何故か勝手に誤解して、騙されて、その中でも特に正義感の強い人たちは、「共謀罪に反対するやつは極左の非国民だ」とかって、怒り狂って叫んでしまうのです。
あまりに可哀想すぎます。
テロ対策をしたいなら、テロ対策法を提案すればいいんですよ(もう、ありますけど)。
国民を監視したいなら監視したいと言えばいいんですよ。
信念を持ってそれが必要だと思うなら、堂々と正面から主張すればいいじゃないですか。
私は私の信念でそれに反対しますけど、自分と異なる意見を述べる自由は、最大限に尊重します。
けれども、嘘をついて国民を騙そうとする人たちに、正義はないです。
共謀罪を「テロ」という枠組みで語る限り、その人は嘘つきか、嘘つきに騙されてしまった可哀想な人です。
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