いや~,久しぶりに行ってきましたよ,台湾道教の廟!!
こちらは,「五千頭の龍が昇る」とされる,大きくて綺麗な廟です。
数え切れないほどの龍の彫刻,特に台湾廟の代名詞でもある龍の透かし彫りの石柱や九龍網(九頭の龍が入り乱れる彫刻)は,精巧で見応えがありました。
……と言っても,この場所は「埼玉」です。
ご存じでしょうか,『聖天宮(せいてんきゅう)』。
埼玉県坂戸市塚越にある,本物の道教の廟です。
台湾好きの私としては,もちろん以前から気になっていたのですが,今回,休日に何とか時間を作って,やっと参拝できました。
最寄り駅は東武東上線若葉駅。ただ,駅から歩くと30分近くかかります。
まぁ,遠慮なく言うと,周りは一見して何もない田舎風景です。
田んぼや畑の真ん中に,ハデハデな台湾風の廟がいきなり出現して「どでーん」と建ってる感じですね。
でも,ここはパワースポットとして,知る人ぞ知る場所です。
何しろ,不治の病を患った台湾の法師様が,ご本尊「三清道祖」のご加護で奇跡的に回復し,その感謝の気持ちから,なぜか異国・日本で15年間もかけて建築した廟なんです。
場所も名前も廟の配置も,すべてが神様のお告げどおり。
当時,本当に何もない雑木林を一から切り開いて建てたんだそうです。
(……今でも何もないよ。)
建築したのは台湾から呼び寄せられた宮大工さんたちですから,間違いない本場の作り。
しかも,かなりでかい,というか,広い。
横浜中華街の関帝廟とかとは,規模が違います。
いや,あれはあれで,いいですけど。
やや遠慮して,日本最大「級」と称されていますが,実際,ここより大きい廟は聞いたことがないですね。
孔子廟なんかも含めるとどうかな?(ただし,孔子廟は簡素なのが本来の姿です。)
そんな聖天宮は,香取慎吾主演の月9ドラマ『西遊記』のロケ地だったり,コスプレーヤーの聖地だったりもします。
私が行ったときも,コスプレ女子が何人かでぴょんぴょんとジャンプしながら写真を撮ってました。
皆様,是非一度は訪れてみてください。
そういえば,拝観料が今年の10月1日から値上げされたそうで,高校生以上は一人500円になっています。
(私が行ったときは,まだ300円でした。)
拝観料とは別に,神様にお香をあげて参拝するのに一人300円かかります。
そのせいもあってか,台湾式にお香をあげて膝をついてお祈りする人はあまり多くないようで,台湾廟なのに,お香の煙がほとんど漂っていません。
どおりで,平成7年開廟でも廟内が美しいままです。
煤がつかないからですね。
……ちょっぴり残念。
ちなみに,台湾式のおみくじは100円でした。
台湾の廟には,拝観料なんてありません。ほぼ出入り自由。
たいていの廟で,お香は大量に置いてあり,それぞれが気持ちで寄進して,好き好きに参拝します。
廟内は常にお香の煙が漂い,花や果物などが大量に供えられています。
祭壇の前では,おみくじを引くために一心不乱に神杯を投げる音が響きます。
かなり運がよければ,順番に並んで,道士様に厄落としのお祈りとかをしてもらえることもあるのですが,お金なんて取られないですね(廟への寄進は別として)。
何よりの違いは,神様です。
聖天宮は,台湾の数ある廟と比べても,敷地はかなり広いほうだと思います。
その割に,奉られている神様は9柱のみ。
しかも,ご本尊の三清道祖が3神,日本の四天王に相当する四聖大元帥が4神,それに南斗星君と北斗星君の組み合わせで2神ですから,実質3組の神様です。
台湾だったら,もっと大量に,所狭しと神様・仏様・妖怪様?まで並んでいるのが普通かなと思います。
敷地が狭ければ,廟を3階建て,4階建てにして,とにかくたくさんの神様を奉ります。
人は誰もがみんな違うから,神様の好みだって,違うのです。
でもって,ほとんどどの廟にもいらっしゃるのが,我らが関羽様というわけです。
こうした道教的な発想でおもしろいなと思うのは,偉い神様ほど人気がない,ということです。
なんでだと思いますか?
道教の神様は,官僚のような上下の序列を持っています。
偉い神様というのは,世界や宇宙全体を管理する神様です。大統領とか内閣総理大臣みたいなものです。
そういう偉い神様に,下々の者が身の回りのお願い事を頼んでも,いちいち聞いてくれませんね。
なので,個人的なお願い事は,もっと庶民に身近な神様,たとえば市会議員とか町役場の係長さんみたいな,地方のお役人級の神様にお願いしないといけないのです。
そういうわけで,関羽や媽祖のように元々が人間だったり,孫悟空のようにお猿さんであったりして,より人間(界)に近い神様ほど,親しみと御利益があり,みんなから人気があるのです。
その点,日本だと,一番偉いはずの内閣総理大臣と直接お友達になった人が,しっかり現世御利益を得られる国のようですから,台湾より大物狙いな人が多い……かもしれませんね。
コメントをお書きください