緊急逮捕が許される要件は,「重い犯罪」について,逮捕の「充分な理由」と,逮捕の「緊急の必要性」があることでした。
まず,緊急逮捕するのは警察官ですから,「死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪」かどうかを間違えるということは,それほど考えられないでしょう。
もっとも,実際には,緊急逮捕か現行犯逮捕かよくわからないよう状況で逮捕がなされていて,後に裁判で問題になることもあります。
緊急逮捕後には,直ちに逮捕状を請求しなければならないので,請求が理由なしに遅れていると,後から違法になることがあります。
ただ,これは自分では何ともしようのない事情です。緊急逮捕を争う場合の勝負は,ここではありません。
緊急逮捕の際に,緊急逮捕する理由を口頭で説明しなければならないという要件がありました。
これをやっていないなら,違法性が客観的に分かりやすいはずです。
理由の説明は簡単でもいいことにはなっていますが,まったく無言でいきなり緊急逮捕すれば,違法です。
すると,少なくとも口頭で緊急逮捕する理由の説明を受けた時点で,何の罪でどうして緊急逮捕しようとしているのかが分かることになりますね。
そうしたら次に,逮捕状がないのにすぐに緊急逮捕されるような「強い疑い」などないことを,できる限りはっきりさせます。
また,通常逮捕や現行犯逮捕の場合と同じように,自ら住所・氏名・連絡先を告げて,今すぐ緊急逮捕しなくても逃げたりしないし,証人となる人の連絡先も知らないなどと説明し,よく分からせればいいのです。
そうすれば,緊急逮捕の要件は,もう消えてなくなってしまいます。